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大阪地方裁判所 昭和43年(ワ)2638号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判決理由】第二、訴外松尾の過失

<証拠>を綜合すれば、本件事故現場は、交通整理が行われておらずかつ左右の見とおしのきかない交差点であり、東西道路の幅員が一一メートル、南北道路の幅員が八メートルで、いずれもアスファルト舗装のされた平坦な道路の交差する地点で、南北道路より交差点に入る場合には公安委員会の道路標識により一時停止をすべき場所と指定されていたこと、訴外松尾は加害車を運転して西方より東方へ向け進行し右事故現場交差点にさしかかつたのであるが、このような場合、徐行して左右道路の安全を確認すべき注意義務があるのに、これを怠り慢然と時速四〇キロメートルで進行したため、折から左(北)側道路から同交差点に進入して来た原告一法師良雄運転の被害車と出合いがしらに衝突するに至つた事実が認められ、右認定に反する証拠はない。もつとも、加害車の進行している道路の幅員がこれと交差する道路の幅員より明らかに広く道路交通法第三六条により優先通行権が認められているような場合には、徐行義務すなわち直ちに停止することができるような速度で進行する義務を負わないものと解すべきであるが、前記認定の如く東西道路(加害車進行道路)の幅員が一一メートル、南北道路(被害車進行道路)の幅が八メートルであるから、訴外松尾の進行する東西道路の幅員が「明らかに」広い場合にあたるものとは認め難く、又これと交差する道路が道路標識により一時停止場所とされていても、徐行義務を免れるものではない(最高裁昭和四三年七月一六日刑集二二巻七号八一三頁参照)。そうならば、訴外松尾に運転上の過失の存したことは明らかである。

第三、過失相殺

他方、原告一法師にも運転上の過失の存することが明らかである。すなわち、前掲各証拠によれば、同被告は被害車を運転して北方より南方に向け進行し、本件事故現場交差点にさしかかつたのであるが、前記のとおり同所は左右の見とおしが悪く又同交差点の左側に一時停止の標識が立てられていたのであるから、左右の安全を十分に確認して進行する義務があるにも拘らず、これを怠り、一時停止の標識のある地点で一時停止をし、その際右(西)方約二〇メートルの地点に東進する加害車を認めていながら、同車より先に交差点を渡り切れるものと軽信し、加害車の動向に十分な注意をなさず慢然と進行しようとしたため、徐行を怠つた訴外松尾運転の加害車と衝突するに至つたものと認められ、<反証排斥・略>。以上のとおり、本件事故は訴外松尾の過失と原告一法師の過失が競合して発生したものと認められ、両者の過失は前者を三、後者を七とみるのが相当である。なお、原告両名各本人尋問の結果によれば、原告金在洛は原告一法師の実父で現に同居し、生計を一にしている関係にあり、又本件事故の際原告一法師の運転する被害車に同乗し、原告一法師と訴外松尾の過失に基因する事故により受傷し損害を蒙つたものであることは前記のとおりであるから、原告両名間においては損害についての填補清算関係が現実化しないことが明確であり、このような場合、被告と原告金との間においても、原告一法師の過失を被害者側の過失として考慮すべきであつて、前記三対七の割合で損害額の算定につき斟酌することとする。(吉崎直弥)

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